2013/06/17

映像編集イディオム。

映像作品は難しい。
とても高度なクオリティコントロールが必要な上に、物事にしっかりフォーカスし続けなくてはならないからだ。
今日弟子のひとりが頑張って映像作品を作っていたが、作業のスピードアップに伴ってフォーカスを失ってしまい、結果映像が躍動しないものになっていた。
全工程をやり直してもらうよう指示するのは心苦しいが仕方ない。
それも彼にとっては勉強だ。
日中は忙しくてフォーカスするポイントについての言及が足らなかったように思うので、ブログで補完しておきたい。
僕自身が編集の段階で気にしてるポイントをいくつか挙げておく。

・イマジンすること。結果を見てからその都度行き当たりばったりで考えず、編集してる映像の大きな物語を脳内でイメージしておくこと。
・編集者としてのメッセージング。音楽や演者の意向と別に編集者としてのメッセージを盛り込む。楽しさが伝わる編集にするとか、せめぎ合う様を切り出したいとか。素材をただ並べるだけでは編集ではない。
・編集することで良くなること。編集した結果フォーカスしないぼんやりしたものになるのなら、編集しない方が良い。当然だ。
・見たいものを見せてあげる。ギター演奏のライブ動画なら視聴者は指先、手元、演奏者の真剣な表情、共演者とのアイコンタクト、リズミカルに動く肩や足、美しい楽器、といったものを見たいと思っているはず。そこにフォーカスする。
・美しく見せる。演奏者が一番輝いてる一瞬を見つけておき、そこにフォーカスする。美しさとは完璧なる善だ。素材を何度も見返して「美」が生まれる瞬間を発見しておくこと。

編集テクニックを使い、ディゾルブやエフェクトで処理し装飾すればそれなりにクオリティ感は出てくるが、それが編集の目的ではない。
虚飾を排し、本質にフォーカスし、秩序をもたらしシンプルにすることだ。