2013/03/23

イノベーションで群雄割拠する音楽。

ひとつ前のブログの続き。
イノベーションの余地。

僕が取り組んでいる音楽業界についてはどうか。
CDの売り上げが落ち、ダウンロードも激減。
音楽は無料化という道にひた走っていて、
よくない方向へ向かっているように思われる。
がしかし、ジョブズが言った言葉、
「テレビ業界は構造に問題があってイノベーションの余地がない」
をそのまま解釈すればイノベーションの障壁になるのは業界であって、
音楽文化や音楽家それ自体ではない。
現在既存の音楽業界は崩壊へむかって進行しているが、
問題である構造が取り払われてゆく様と解釈する事ができる。

ということはイノベーションの余地がどんどん生まれているという事でもある。
それを証明するように新しいサービスやプラットフォームがどんどん誕生し、
そして存在感を伸ばしていると思う。
とうとう誰でも配信できるようになったiTunesとCDbabyなどのアグリゲータービジネス。
Napsterが亡き後のStreamingサイトSpotifyの成長。
ネットユーザーの半分、月間10億アクセスのYouTube。
音楽業界は戦国時代に戻り、群雄割拠した音楽大名達が、
イノベーションの余地という領地を争っている。
実はアンダーグラウンドで新しい音楽業界は黄金期を迎えているさなかだ。

メディアはこの現実を捉える事ができていないように思う。
オリコンを読み、大手レコード会社、既存の業界からの情報を分析する。
テレビやラジオでオンエアされたものだけ集計し、
どれだけ売れたかのリサーチ対象の店舗も偏っている。
地下に潜ったクリエイターの実状にアクセスする事はかなわず、
世相を反映した情報を収集、発信することができていない。
そのような情報にもし流されて音楽する事に閉塞感を感じて、
夢をあきらめてしまう人がいるとしたら、それはとても悲しい。

音楽の道を志すたくさんの人に伝えたいことがある。
今は音楽で食べてゆくチャンスだ。
音楽家として音楽で生きてゆく為に必要なツール、サービスがネットをに溢れている。
レコード会社に認められなくとも、みんなの作品は発表できる。
自分のレーベルを設立すれば良い。
CDbabyにログインして音源をアップすれば三日後には全世界配信がスタートする。
iTunesにもAmazonMP3にもGoogle Playにもみんなの曲が載る。
ライブハウスに出なくとも、路上ライブしなくとも、
YouTubeで音楽が好きな人にいくらでも届けられる。
好きな時に、好きなだけ、オンデマンドで、
自分のアーカイブから無限に送信することができる。
SNSで人と交流することもできる。
かつてエージェントやレーベルがやっていた仕事を全て、
すでにインターネットが敷居を低くして、
丁寧に優しくフェアな価格で提供してくれている。
そんな時代に僕らは生きている。
とっても幸運な時代だと僕は思う。

あと必要なこと。
それは、そう、音楽を作ること。

今、音楽をやってる人全員が「プロ」になる権利を持っている。
迷うことはない。
プロになってしまえばいいじゃないか。
本能寺はすでに炎で紅く染まっている。
はじまったばかりの音楽戦国時代を、熱く駆け抜けてゆこう。
戦場を各々の音楽で満たし、生き延びて一国一城の主になろうじゃないか。