2013/06/25

新しい思考のスタイル。

深く思考する癖が静養中に習慣になってきた。
以前のログにも残したが、人との会話や会議では到達できない深い思考というものが孤独な黙考にはある。
もう少し早くこういう思考法の大切さに気がついていればもっと色んなことに気づけていただろう。
ちょっと悔しい気持ちにもなるが、まあまあこの歳で気がつければ分相応かもしれない。

それに気づいてから弟子たちとの会話の手順もかわってきた。
まず語らいの中で問題が提起される。
新しいサイトを立ち上げようと思うのですがとか、次のレコーディング楽曲の相談とか。
以前ならその場で会話をしながら思いつく範囲で答えを導いてきた。
しかし今は一度持ち帰るようにしている。
持ち帰って一人になって、ゆっくりと何度も思考を繰り返し、iPadにメモを片っ端から残す。
休みをいれながらも断続的に読み返しては自問自答する。
そうやってふくらんだ問題点と僕なりのソリューション、回答を用意してから弟子に対して研究発表を行う。
そのうえでディスカッションし更に深い思考のポイントを模索したりしながら結論を導いてゆく。
面倒な作業ではあるが、結果みちびきだされる回答のクオリティは格段に精密で上質なものになった。
無駄がなくシンプルで本質をついた回答が導けるようになってきたように感じている。

この間の基調講演でジョナサン アイブは「シンプルとは必要なものをそぎ落として簡便にするのではない。複雑さの中に秩序をもたらすものだ」と語っていた。
素晴らしい格言にふれ心が感動で揺れ動いた。
その言葉と出会ったことで今の沈思黙考する自分の新しい思考スタイルが生まれてきたのかもしれない。
素晴らしい言葉や価値観との出会いが人を育ててくれる。
ぼくもまだまだ進歩してゆきたいので、もっとたくさんの素晴らしい言葉に出会ってゆきたいし、そして同時に側にいる人たちの心に触れる素晴らしい言葉を自分からも発信できるような人間になりたいと思う。

今夜も眠りにつくまでもう少しだけ時間がある。
少しでも文章を書き、寝る寸前まで思考を続けたいと思う。