Acousphere奥沢です!
今日はジャズギターの巨人、Wes Montgomeryのアドリブフレーズをコピーして分析していました。
コード進行に沿って分析すると真実が見えないことも多く、かえって混乱してしまいますので、僕はアルペジオと強調されているノートを中心に分析しています。
そうすることで楽曲のコード進行とは関わりなく演奏者が独自のコード進行をイメージしているのがわかります。
それでは譜面の内容を説明してゆきます。
楽曲はWesの愛奏曲Full House。
コード進行はFm7とB7がでてきます。
楽曲はFのマイナーキーで作られているのでFm7はIm7の扱いになりますが、WesはこれにB7を加えることでFm7をIIm7、B7をV7と解釈しています。
なのでフレーズにはMajor6thの音が出てきてDorian Modeを意識しているのがわかります。
このフレーズをWesは一気に弾きあげるので迫力があるのですが、良く聞くとふたつのフレーズの組み合わせになってることに気がつきます。
なので譜面上で前半と後半部分に分割してカッコで表示しておきました。
前半のフレーズはシンプル。
Fm7のアルペジオにPassing Noteとしてスケール音を経由して最後に9thに解決するという王道のジャズフレーズシェイプ。
他の楽曲でもアドリブ冒頭などでWesはこのシェイプを良く弾いていますね。
「1 - 2 - b3 - 4 - 5 - b7 - 9」
後半のフレーズ、実はFm7とは関わりのないコードのアルペジオになっています。
それはEbmaj7のコード。
ここでの分析ではImaj7のコードにあたります。
分析すると以下のようになります。
「7 - 1 - 3 - 5 - 7」
そして最後のノートはGの音になるのですが、Ebmaj7でアナライズすると5thの音になりますが、同時にFm7のコードに対してアナライズすると9thの音になります。
Fm7中心で考えるとWesは2回とも連続で9thの音に対して解決しているという事になりますね。
9thへ解決するフレージングに対するこだわり、もしくはその音を選んでしまう感性が備わっていたのでしょうね。
9thというノートは和音のコードを弾くときにもジャズらしさを決定づける大事なテンションノートになりますが、フレージングにおいても同じように9thを強調することがジャズらしさを生み出すという良い例ですね。
またWesにジャズらしさとは何かを教わった気がします。