2014/08/06

良心だけでできた作品。

ブエナビスタソシアルクラブ。
僕がみてきた映画の中で、もっとも魂が震えた作品だ。
弟子たちにもこの感動を届けたいと思い、Amazonで購入。
届いて以来、数回にわたって再生しているが、やっぱり素晴らしい。

忘れ去られていたキューバの素晴らしいミュージシャンたち。
ギタリスト、ライクーダーが彼らを探し、集結させて作品として「レコード」した。
ライクーダーが私財を投じてこの音楽を「レコード」しなかったら、この素晴らしい音楽はこの世から消滅し、僕らの耳にも心にも届かなかったかもしれない。
音楽家として自分の作品を残すことも重要かもしれないが、その審美眼をもって本当の音楽をコレクトし紹介してゆくことがいかに大切かということをこの映画は知らしめてくれている。
この映画を見ていなかったら僕も弟子をとり、後進を育ててゆくという大切な仕事に気づかなかったかもしれない。
ライクーダーは真に尊敬している。

この映画で僕が最も好きなシーンはライがレコーディングをコントロールルームで瞳を閉じて聞きがなら、小さな声で「Wao...」とささやくシーンだ。
音楽への愛、人々への尊敬の気持ち、本当に美しいものに出会った時の感動、それを合わせもった瞬間の表情。
自分もいつかあんな表情を浮かべてみたい。
そういう仲間に囲まれて、一人の音楽ファンとして名作が生まれる瞬間に立ち会い、手放しで喜んでみたいのだ。

この作品には人の良心が満ち溢れている。
この感じに包まれて人生を歩めたら、そこは天国と同じものだろう。
ありがとうライクーダー。