2017/05/29

Disney回想録。

Disneyのレコーディングを終えて回想録。
今回の楽曲は歌詞の意味を読むとこうだ。
[自然への畏敬を持ちなさい]
[自分と姿や主義の違う人や生き物に学びなさい]
主人公が登場人物と観客にそう呼びかける楽曲はまさに"説法"だ。
それをギターだけで伝えるには重厚でゆったりしたアレンジ、即ちBalladが必要だった。

通常のコードを用いてギター伴奏をゆったり弾くだけではこの雰囲気は出ない。
オーケストラと同じような更に倍音成分の多い響きがギターの音色にもアレンジにも必要だった。
ゆえに新しい演奏のアイデアが必要になった。
今回とりいれたのは常に5和音でいるということ。
ギターの通常のコードは3和音、4和音が主体だがそれでは響き、というよりも"うねり"が生まれない。
半音階でぶつかるCluster Voicingを多用し、それ以外はUnisonの響きでコーラス効果を呼び込んだ。
そのおかげで重厚なハーモニーがギター1本から発音することができたと思う。
自然とオープンコードが増え開放弦を使うためにギターの得意なKeyにカポを使って持ち込んだのも功を奏した。

そして5和音を滑らかに弾くために新しいテクニック"右手5本指全部を使ったアルペジオ奏法"が必要になり、しばしその練習にも時間をとられた。
未だに小指は滑らかに動くとは言い難いが少しずつこのテクニックも自分の身につきつつある。
Tuck Andressさんのアレンジにも時折現れていたがそれを完全にデフォルトテクニックとしてコンセプト化したアレンジはギター界でも初めてだろう。
問題点も多いが今後もこれを使ってBalladのレコーディングを推し進めてゆけばいずれ自分にとって当たり前のものになり、常に豊かな和音で演奏できるようになるだろう。
レコーディングを通じて飛躍する瞬間は多い。

Ballad Versionに関する話はまだあるがまた続きにて触れる。