2016/06/03

ハーモニックマイナーの世界。

音楽の話。
ここ2ヶ月ほど弟子の井上くんにハーモニックマイナーの話をしている。
マイナーキーのV7コードはどこから派生したものか、そしてV7の中にあるトライトーンがドミナントモーションを引き起こしコード進行を牽引する力になっていることなど説明。
バークリー音楽院でも学び、繰り返し自分でも考察してきたことだがこの歳になって再考察すると違った側面がみえてくる。
バークリーではMelodic Minor Scaleがアドリブをとるうえで最も重要なスケールになると教わったけれども、自分は自然発生的に生まれてきたHarmonic Minorのほうが耽美的でロマンティックで好きだ。
そしてMelodic MinorはときにHarmonic MinorへSuspendして進行するような動きをすることにも気がついた。
これは新しい発見で、自分の耳がより細やかなノートの流れをとらえられるようになってきた、また少し進歩できたということだろう。
マイナーキーのV7コードをMelodic Minorで受けその後すぐにHarmonic Minorへ転ずることで物語がひとつ増える。
繊細な動きだがそれを制御できたらメロディはもっと美しくつながってゆくだろう。
この変化をとらえた音楽をどこかで習作として作るべきだろう。
作品という形で固化しておかないと消え去り忘れてしまう。
作品とはひとつの記憶装置でもある、ということか。