2015/08/17

人はタブーで出来ている。


このところ麻生くんと深い話をすることが多くなって来た。
音源のリリース、そして人生が変化する時期を迎え、より踏み込んだ話ができるようになったということかもしれない。
本当に弟子達は着実に成長している。
大人の男になるためにもっとも大切で面白い20歳代から30歳代への境目の時代を共にすごしている。
僕も彼らとともにその多感な時期をいっしょに過ごし、同じように苦悩し謳歌することでとても大きな人生勉強をさせてもらっている。
本当に弟子達に感謝している。

しかし深い話をするようになったということは、こちらも「腹を割ってはなす」ということをしなくてはならないということでもある。
そうでなくては本質に迫れないからだ。
自分の過去のあやまち、封印していた想い、そういったものも開示して話してゆかなくては深くなれない。
それは大変な労力のいるもので、たくさんの「自分にとってのタブー」を口にするたびに当時の想いがフラッシュバックし苦悩が蘇る。
それでも人として成長するにはそれを話し、共有し、再考察し、傷つく以外にないのだと考えている。

そういう態度で彼と臨んだことで彼からもいくつかの「告白」のような情報をもらうことができた。
師弟関係という信頼と、共に音楽を奏でる仲間という友情をもってしても一度も語られる事のなかった真実。
彼自身それを話すことには大変な苦悩と心労があっただろう。
勇気と信頼をもってそれを話してくれた彼に感謝している。

僕はかれのその言葉のおかげで今、深く深く思考する事ができている。
これまでの彼とのストーリーの中で謎だったミステリーもたくさん符合し解消した。
あたらしい観点から物事をかんがえられるようにもなった。
そして自分自身の中にある、「タブー」についてもいくつかの答えがみつかったように思う。
腹を割って話す事でたくさんの本質に触れる事ができた。

彼が勇気をもって僕にあたえてくれた告白は僕と彼の間以外で語られる事はないだろう。
たくさんの人と共有することのないデータ。
しかしそれは深くてデリケートなものであり、実は人格を形成する「核」となっている。
人格とは語られない情報で形成されているのかもしれない。
人は「タブー」で出来ている。